2011年03月01日

ユーロ・ロック・プレスの“Stream”レビュー

Euro Rock Press(ユーロ・ロック・プレス)の「特選盤」トップに、“Stream”のレビューが載りましたのでご紹介します。

「Pianoworks I」に続く新作は、カンタベリー&プログレ・ファンなら狂喜乱舞のゲストを迎えた怒涛のプログレ歌ものアルバムに仕上がった。1曲目からヴォーカルがロバート・ワイアット、ギター・ソロがアンディー・ラテイマー。これでもう基本的に全員買いだと思うが、2曲目”The Man Is The Child”(タイトルで分かる人には分かる)を歌っているのがアニー・ハズラム。スチュワート&ガスキンとの共演はあるは、ジミー・ヘイスティングスが全面参加してあのフルートを吹きまくるわと、とにかく感動の連続。キーボードはピアノが中心だが、あのオルガン・ワークを堪能できるナンバーも。(宮坂聖一)
posted by Crescent Label Master at 05:36| 日記

2010年11月27日

イタアリア・プログレ誌のレビュー

イタリアのプログレ専門誌、「Wonderous Stories」に、ピアノワークスTのレビューが載りましたのでご紹介します。

[WS Top page]
http://www.wonderoustories.it/

[記事]
http://www.wonderoustories.it/DAVESINCLAIR.htm

記事は、カンタベリー担当の Vincenzo Giorgio によるものです。
ずい分とヒネリの利いた英語ですが、以下、日本語訳します。

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DAVE SINCLAIR                 frozen%20in%20time%20jacket%20mini[1].jpg
PianoWorks 1 - Frozen in Time
CRSCNT001 - 51'42''
AADBEG/Crescent 2010


デイヴ・シンクレアのこのような作品は、永きに渡り熱望されてきました。デイヴはCaravan、Matching Mole、(短期間ですが)Hatfield and the Northを転々とし、栄光の「カンタベリー学校」において誰よりも「ピンクのメロディー」を「グレイ〜薔薇色の美学」(注1)に広く息を吹きかけてきた人物です。
実際、主にハモンドオルガンで表現される彼の鍵盤のフレーズは、カンタベリー・シーンの1つのトレードマークとして評価を得てきました。
また、ソロ作品は魅力的な冒険に満ちた一級品で、熟練した(cunning;注2)ミュージシャンなのです。
ソロでオーケストレーションするチャンスを得たとき、独特なメロディーの精巧細工をつかって、デイヴはいとも簡単にこの試みを成し遂げ、多才な作曲能力を持って、新たなそして尋常ならざる高みに到達したことを見せつけました。

デイヴ・インクレアは、彼のよく知られたメロディーが、予測外に深くクラッシックと脈絡を持つことを提示しました。
実際、彼の日本のレーベル・サイトでは、「メンデルスゾーンの追想」について触れられています。
しかしながら、主に、恋心を抱いてしまいそうなほどの“Frozen In Time”における高音のフレーズに関して、ショパンに言及することは的外れではありません。
また、我々はジョージ・ウィンストンのような、明快で「ポスト・エスニック」なピアノの反響を、“小浜の舟歌U(Obama Balcarolle II)”で聴くことができます。
しかしそれは、クールで軽快なキーで創られており、ちょうど、内気なキーボード・ストリングスのパステルで描かれた、より印象主義的でセンシティヴなカンタベリー音楽に仕上がっています。
それに対して、“木漏れ日(Sunlight Through The Leaves)”では、濃厚なJazzの香りが充満しています。

最終曲“Shine Its Light”のとてつもない美しさに注目しましょう。デイヴの素晴らしく感動的なピアノの波間から、偉大なるジミー・ヘイスティングスの几帳面でこの世のものとは思えぬほど美しいフルートが立ち上がります。
ジミーの起用は明らかに成功しています。彼のフルートは、軽く「ジャズ風にコートされた」感じを、サウンドに、魔法にかかったように儚く与えています。

総じてアルバム“Frozen In Time”は、その甘味な優雅さをもってあなたを感動させることでしょう。

Vincenzo Giorgio

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(注1)デイヴのCARAVAN時代の代表作、「 グレイとピンクの地(In The Land Of Grey And Pink)」の表題をモジッた表現と思われます。
[ 参照:http://crescent.sblo.jp/article/41624546.html ]

(注2)デイヴのCARAVAN時代のほかの代表作、「ロッキンコンチェルト(Cunning Stunts)」の表題をモジッたものでしょう。
posted by Crescent Label Master at 10:11| 日記

2010年11月03日

Jim Morton

これから順次 Crescent Label よりリリースする、Dave Sinclair のアルバム4枚のうち、グループ演奏のスタジオ盤3枚のジャケットを担当してくれたのが、Jim Morton です。

米国籍で京都在住の、画家、彫刻家&書道家です。

60〜70年代のプログレ全盛期の名盤には、下記のような共通した性格がありました。

(1)アルバムコンセプトがしっかりしていて、バラバラの曲を集めただけではない、アルバムとしての物語がしっかりあること。
(2)ジャケットワークが、アルバムコンセプトとリンクしていること。
(3)アルバムジャケットを見れば、演奏者が誰か想像がつくぐらい、ジャケットがミュージシャン(グループ)のアイコン的役割を果たしていたこと。
(4)グループ名、ミュージシャン名などのロゴが独創的なこと。

このたびStreamを制作するにあたって、私は上記の条件を満たすアーティストを探していました。
しかも、UKのケントから京都に移住してきたデイヴのアルバムですので、西洋美術と日本美術の高度なハイブリッド・アートでなければなりません。

なかなかいい候補が見つからないでいましたが、2007年頃、デイヴから電話が来たのです。「散歩友達が自分からStreamのイメージを絵に描きたいと言ってデッサンをはじめている。」というではありませんか。デイヴも私も彼の画家としてのポテンシャルについてはまったく知る由もなかった段階でしたので、とりあえず次に京都に行く時に、その散歩友達に会って見せてもらうことにしたのです。

話は少し過去に戻ります。

デイヴは京都に移住してからずっと、京都盆地を囲む低山(というか丘陵?)のとある決まったコースを登って降りることを、エクササイズとして日々の習慣にしていました。元高跳びの選手(確か全英中学?高校?陸上大会で優勝!)であったデイヴにとって、この習慣は体調を保つために必要なのです。私も一度付き合わされて参ったことがあります(それからは二度と登っていない)が、結構息が上がる傾斜なのでした。

で、どうやら過去何年も、同じコースを往復するヨーロピアンと思しき男性と、しょっちゅうすれ違っていたようなのです。次第に互いに目礼まではするようになり、簡単なあいさつを発するようになり、ついに何年か経って少し話しをする仲になったということでした。
その男性の名は、Jim Morton。日本美術と書道を身につけるため、USAから京都に来て30ウン年という経歴の持ち主でした。デイヴは、自分の出自と現在進行中のStream projectのことを話し、Jimが自宅に遊びに来たときに、出来たばかりのデモを聴かせたのでした。

打ち合わせのため京都に赴き、デイヴ宅に着くと、しばらくして自転車に乗ったジムが到着。メッセンジャーバッグのような大きなカバンから、描きかけの絵を取り出しました。それを見た時の衝撃は忘れられません。眼を閉じて、川の流れに身を浸している女性が伸ばした右腕、手首から指の素晴らしさは言葉を失うほどでした。まるで仏像の広げた手のような表情を持っているではないですか。
まさに私が求めていた、「東西美術の高度なハイブリッド・タイプ」そのものだったわけです。早速Streamのジャケットに採用させてもらい、少し変更点や追加の箇所をお願いして出来上がったのがこれです。

stream%20jacket%20mini[1].jpg


後日ジム宅を訪問すると、青い目の米国人は、作務衣を着て正座で座卓に向かって書の練習をしていたところでした。部屋の壁一面に、いかにも高そうな巨大〜極細の書道用筆が掛けられており、部屋の隅にはジムが彫った(!)という仏像が置かれていました。
それは一部破損していましたが、どう見てもプロの仏師が彫った一流の彫刻と同じレベルの作品でした。素人臭さなど微塵も感じられません。
Streamの女性の上肢のテクスチャーは、こういう作品を自分で彫ってしまえるジムならではの深い洞察によって描かれたものであることを理解した次第です。

ジャケットに描かれた絵も申し分なく見事なのですが、同時にジムの書いたカリグラフィーも素晴らしく、「Dave Sinclair」や「Stream」の文字は、はっきりとデイヴとジムの個性を強調してくれています。

階下の部屋でお茶をごちそうになると、脇でジムがおもむろに楽器を演奏し始めたではないですか。その楽器は、欧州の古楽器リュートでした。

Jim and Lute (320x240).jpg


GenesisにおけるPaul Whitehead、YesにおけるRoger Dean、Pink FloydにおけるHypnosisのように、Dave SinclairにおけるJim Mortonとなってもらうため、ジムにはMOMとEn-Circleのアートもお願いすることになりました。

en%20circle%20jacket%20mini[1].jpg

moon%20over%20man%20jacket%20mini[1].jpg


たなびく雲に、ジムの手によるカリグラフィー、Dave Sinclairの名が入るパターンが3作共通のものとなっています。

ところで、実を言うとStreamのフロントジャケットは、最初はバックジャケットの面に当たる部分だったのです。つまり、上でお見せしているStreamのフロントジャケットよりも、ジム自身がフロント用にと思って書いた絵が、右側に連続して展開しているわけです。実物は買って頂いて、見開いてからのお楽しみといったところですが、ヒントを言うと、King Crimzonのファーストアルバムのジャケットは、御存知の通り、フロントが叫び声をあげている真っ赤な顔をした人間の顔面の拡大描写ですが、Wジャケットを開くと、顔面の右側が宇宙空間に引っ張られて分裂している様子が描写されていて、ハッとびっくりする仕掛けになっていますね、ややあれに近い仕掛けがStreamの紙ジャケには施されています。
本来のバックジャケットをフロントに持ってくることによって、連続した右側の面を中に折りたたみ、フロント面の左側に、もう一面バックジャケット用の絵を書いてもらいました。そこにも実はアルバムと関連する謎解き用の仕掛けが施してあります。
そういう事情によって、Streamのジャケットは、6面紙ジャケとなったのでした。

そうそう、私がプロデュースするにあたって、上記のようなジャケットワークにしましたが、もう数点、ジムにリクエストして絵を修正してもらっています。そのひとつが、フロントジャケットの遠景の山々と空の色です。これは、某アルバムを見せて山のシルエットのイメージを把握してもらった上で、「夕焼けの色はPinkで、山のシルエットはGreyでなければなりません。なりませんったらなりません!」と指示を飛ばした結果、あのようなものになったというわけです。

見本に見せた某CDとは、もちろんCARAVANの“In The Land Of Grey &Pink”であることは言うまでもないでしょう。

ジムにはジャケットワークだけでなく、そのうち、リュート奏者としてもいつかミュージシャン・デビューをしてもらおうと私が企んでいることを、デイヴやジムは知る由もありません。
posted by Crescent Label Master at 12:00| 日記