2010年12月31日

2. Canterbury

カンタベリー (F、変調)


この曲の最初のインスピレーションは、カンタベリーの街並みを見下ろせる、聖トーマスが丘の高みにある聖エドモンド学校からの早朝の風景から得たのでした。
カンタベリーの街は、当初深い霧の下に佇でいましたが、朝日の暖かさが霧を分散させていく様が、まるでもう一度カンタベリーの歴史が徐々に明らかにされていくよう見えたのです。

私がこの曲を作詞作曲したのは、新世紀のイベントとしてエフライム山で行われた、最初の「カンタベリー・フェスティバル」で、キャラヴァンとして演奏することが目的でした。
残念ながら、我々には限られたリハーサル時間しか与えられていなかったので、その時は準備ができなかったのです。

京都に転居したあと、私は古いファイルの中からこの曲のデモを見つけました。
懐かしさを感じながら、ピアノワークス用にこの曲を無言歌として録音することに決心したのです。

2010年 秋 デイヴ・シンクレア
posted by Crescent Label Master at 21:11| ライナーノーツ翻訳

1. Obama Barcarolle I

小浜の舟歌 I (Bフラット、変調)


1978年の後半、わたしはキャメルと6ヶ月に渡るツアーに乗り出しまし、1979年1月には、米国に向かう途中に日本に到達したのです。
自由行動の日に京都を訪れ、ある場所に深く感銘を受けたのです[注]。そこに滞在できたのはごく短い時間だったのですが、それにもかかわらず私はいつかこの場所へ戻ってくることを誓ったのでした。

ツアーのあと英国へ戻ってからも、日本の記憶は心のなかに新鮮に保たれてたまま、作曲を続けておりました。
その時期の楽曲の一つが、最終的に小浜の舟歌 I になったのです。その時には未完成でしたが、その曲は数年に渡って私の心のなかに燻っていたのです。

26年後、ついに日本への移住を果たしたあと、私は定期的に日本国内のあちこちを旅行して回りました。そのうちの一つが、2006年2月、日本海沿岸の街、小浜へのだったのです。
小浜の歴史と自然の美しさに大いなるインスピレーションを得た私は、京都に戻った直後に曲を完成させる強力な動機付けを得たのでした。

2010年 秋 デイヴ・シンクレア


[注]龍安寺の石庭
http://www.ryoanji.jp/
posted by Crescent Label Master at 21:07| ライナーノーツ翻訳

Pianoworks I 序章

デイヴは永い年月をかけて、非常に個性的なピアノ演奏様式を築いてきましたが、現在に至るまで、ピアノソロのライヴや録音はほとんど行われてきませんでした。
1980年から2005年の間、デイヴはカンタベリー近郊で、アコースティック・ピアノを修理、販売するピアノショップを経営して家族を養っていました。それ故、この時期にはグループ活動と疎遠となり、必然的にピアノ演奏が以前にも増して独特なものとなっていったのです。

2005年、日本移住後、Aadbeg社はデイヴにアコースティック・アルバムの録音を持ちかけました。制作の契約がなされましたが、Aadbegから、フル・バンドヴォーカル付きのスタジオ録音盤と、ピアノソロ・アルバムの2枚の制作を提案したため、契約が変更となりました。
これは幸運な方針転換でした。なぜならば、デイヴは永い間、友人や支持者達から、ピアノソロ・アルバムを録音するよう薦められていたからです。
デイヴは、書き貯めてあった膨大な楽曲のストックが、他の様式で近日中に日の目をみることがなさそうなことを理解して、京都のホームスタジオでそのうちのいくつかを録音する準備を整えたのです。

当初、東京で特別に選んだスタインウェイ(アルバムの写真参照)を使用するつもりでしたが、結局、スタジオや東京までの距離的条件のために、実行不可能となりました。
最終的にデイヴは、よりリラックスした環境である自宅のスタジオで録音することを選びました。

元々多くの曲には歌詞が付いていましたが、メンデルスゾーンの「無言歌集」にならって、ソロの器楽演奏用の修正を加えるようデイヴに推奨しました。
デイヴの様々な才能を使った、楽器に関する永いプロとしての関わりからして、「ピアノワークス」は、アルバムのタイトルとして理想的であるように思えました。

ヴォーカルも歌詞もなかったので、デイヴは何らかの曲の背景を示すのが適当であると結論付けました。それで、個々の曲に関する彼自身の解説を掲載した次第です。

最後に、音楽はMIDIを使わずリアルタイムで録音され、編集を最小限に抑えたことに言及しておきます。

2010年秋 制作責任者 安藤貴紀
posted by Crescent Label Master at 21:01| ライナーノーツ翻訳